バイト先の先輩に嘘をつかれ、、、、

あれはまだ私が大学生だったころ。田舎から出てきたばかりの私は東京の人の多さに飲み込まれてしまい、少し精神的に疲弊した日々を過ごしていました。そんなときバイト先の先輩だったその人が近づいてきたのです。人付き合いが苦手で友達を作ることにも失敗していた私に、その方はとても優しく接してくれました。仕事のことはもちろん、ひとり暮らしでのポイントなども親身になって教えてくれたので私は心を開いていました。私のためにいろいろと尽力してくれるその人の役に立ちたいと考えていたのです。いつしか好意を持つようになっていたのだと思います。
大学2年生に進級しようとしていたころ、その先輩から「相談したいことがある」とメールで呼び出されました。急いで行ってみると先輩は神妙な面持ちで、「母が交通事故に遭って介護が必要な体になってしまったためお金が必要だ。他の人からもお金を借りているが足りないので10万円貸してほしい」と持ち掛けられました。今思えば典型的な詐欺の言い回しだったかもしれません。しかし私は先輩の切羽詰まった表情でその話は本当だと思い込み、「半額の5万円なら」と渡してしまったのです。涙を流して喜ぶ先輩を見て、私は良いことをしたと思いましたが、翌日、先輩はそのバイトを退職し、私の目の前から姿を消しました。後日聞いた話では、先輩がお金を貸したと語っていた人がお金を貸した事実はなく、先輩のお母さんは数年前に亡くなったそうです。
その先輩に私を騙すつもりがあったのかわかりません。母親というのは聞き間違いで、その先輩は実際にお父さんの介護費用でお金に困っていたのかもしれません。ただ、実際にその先輩は私がお金を渡した翌日から仕事に来なくなり、数年が経った今でもいっさい連絡がないのです。お金を渡したことに後悔はしていませんし、その先輩を恨む気持ちも今となってはありませんが、人を信じられなくなったできごとではありました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る